2015年9月20日日曜日

本日の魔法の呪文 123


"池谷:心理学で有名なジェームス・ランゲ説では、悲しいから涙が出るのか、涙が出るから悲しいのかという議論で、「涙が出ているから悲しいのである」と唱えられていますよね。
認知的不協和というのもこれに似ていて、出力に対して、内面を合わせてしまう。
そういう面白い心理があって、そのあたりの研究は心理学でも一世を風靡しました。

鈴木:それは法律の実務でも実感します。法律相談がうまくいかないときって、たいてい法律的に答えるのが早すぎたときなんですよね。

池谷:いきなり結論を言ってしまう。

鈴木:ええ。相談者からすると、法律の議論そのものが気に入らない。だから、懇切丁寧に説明しても、もうその同じ説明は不快でしかない。私としては、何回拒絶されても、結論としてはそれしか言いようがないんだけどなと思いながら・・・。"

※ ジェームス・ランゲ説
身体的・生理的変化を認知することで感情が引き起こされるという心理学の理論。アメリカの心理学者W・ジェームスとデンマークの心理学者C・ランゲが唱えたためこの名がついた。"



和解する脳  池谷裕二×鈴木仁志
認知的不協和と「理」を使うタイミング  P195より抜粋

この、出力に対して内面を合わせてしまう、というのは、
肉体の動きや本能に翻弄されている、
キネシス優位な人々に対してあてはまる話だなぁとつくづく思う。

この部分を読んでいて、ひっくりかえせば、理不尽な要求であっても、
相手の「気持ち」さえなだめれば無理矢理通すことは可能である、
という風に読めるなぁとあらためて思った。

実際、世の中のクレーム対応がまさにこれで、「気持ち」をいかになだめるか、だものね。

けれどあまりにそんなことばかりがまかりとおっていくと、
ある日突然全てががらがらと崩れる、そういうことになるしかないと思う。

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