2015年9月2日水曜日

本日の魔法の呪文 110


"ものごとはふつう、いろいろな角度から成り立っている。
しかしもしも全てを取り払って、
ただひとつの世界を見つめたらなんでも可能になる。
あの夕方、ふたりはたまたま出会い、
私の異様な内面世界に彼が全く同じ力で反応し、
化学変化のようなことが起こり、
ふたりともが現実とは違う位相に飛び込んでしまったのだ。
お互いがとまどうほど強烈な力が働いたのだろう。"

よしもとばなな 体は全部知っている   P108ミイラ  より抜粋

強烈な力に翻弄された時期を経たことは、
それがお互いにとって
どういう意味であったとしても、翻弄されたということ、それそのものが
ほんとうに貴重な体験だと思う。

わたしにとって強烈な力がいったい何をもたらしたのか、
その全貌は今でもまだよくわからないけれど、
同じ構造で、世界はずっと、歴史を重ねてきており、
国や時代が違っても生きるということは、この力との対峙、という同じテーマがある、
そのことがわかっただけでも、ここ数年はほんと良かった。

豊かさや愛を感じるとき、
手から手へ渡されるものはキラキラしたプレゼントや指輪だろうか?

神が乞食の格好をしてあらわれる、と言われるけど、
それとか、
子どもがよくおかしの包み紙で、空になったものを丸めて中に詰めて、
「はい」と渡したりするけど、
それとか、
ボルトを指輪代わりにして渡したりするけど、

そういう時に、言葉にならない真のエネルギーが流れるのかどうなのか
はっきりとわかる。

そのことの真贋をちゃんと感じられるようになったのは、
間違いなく、翻弄されたおかげなのだ。



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