2015年5月23日土曜日

本日の魔法の呪文 14


"後年、伊太利イタリアフローレンスで「花のサンタマリア寺」を見た。
あらゆる色彩の大理石を蒐めて建てたこの寺院は、
陽に当ると鉱物でありながら花の肌になる。
寺でありながら花である。
死にして生、そこに芳烈な匂いさえも感ぜられる。
私は、心理の共感性作用を基調にするこの歴史上の芸術の証明により、
自分の特異性に普遍性を見出みいだして、
ほぼ生きるに堪たえると心を決した。
 ――人は悩なやましくとも芸術によって救われよう――と。"

岡本かの子 桃のある風景 より


彷徨うということは、答えを探すというより、
問いを探しているのかも。

そんなことを思ったときに、
無造作に、大量に、問いがたくさん羅列されていて、
それを次々片づけていく、ということは、
たくさん作業しているようでいて、
ほんとうはなにも片づいていないのかも、なんて。

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